「中国文物局の蝋印入り骨董品」と「中華人民共和国文物保護法」「中華人民共和国文物保護法実施条例」について~第一弾!


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秋も深まり、朝夕は涼しい季節になってきましたね!
急須 蝋印

 

以前ご紹介させていただきました「中国文物局の蝋印入り骨董品」についての記事ですが、
思いのほかのご反響をいただいておりまして、誠にありがとうございます!
※我々が日ごろよく口にする「骨董」という言葉、中国では「文物」と表記されます。

中国では骨董品の国外輸出についての規定がもうけられていること等を書かせていただきましたが、
改めまして…まず、いつから持ち出し制限がかかったのかと申しますと(当ブログ9月4日、掲載より)

『そもそも1960年に施行された「文化財輸出鑑定参考基準」から輸出制限が開始さ れ、現在では旧
法令は廃止されておりますが、2007年に公布された「中華人民共 和国文物保護法」「中華人民共和
国文物保護法実施条例」に基づいて制定された 「文化財の海外持ち出し審査基準」によって、中国の
骨董品は現在も国家から守られております。』

1960年に施行された「文化財輸出鑑定参考基準」では、1795年(清代乾隆帝)以前の骨董品・美術品
などが対象になっていたそうですが、2007年に公布された「中華人民共 和国文物保護法」「中華人民
共和国文物保護法実施条例」に基づいて制定された 「文化財の海外持ち出し審査基準」では、急激に
時代が下って、分類によって「一律持ち出し禁止」のものから「1911年以前のものは持出禁止」「19
49年以前のものは持出禁止」「1966年以前のものは持出禁止」などと年代が細かく選別されたうえ、
規準がかなり厳しくなってしまいました。

それから、どのように鑑定が行われるかといいますと、まず中国文物局に集められた骨董品は、
文物局内に設置されている文物鑑定セン ターの専門家によって鑑定がなされ、規定から外れた骨董品
のみが「文物局鑑定証明書」「文物局公認の鑑定印」(蝋印)を押印されて、市場に流出する、という
流れになっております。

もちろん、海外への貴重な骨董品の流出防止策を立てているのは中国ばかりではありません!!
実は日本にも「文化財保護法及び関係法令」が設けられており、これは国内での文化財保護のためのみ
ならず、重要文化財クラスの骨董および美術品の海外流出を防ぐためにも重要な役割を果たしており、
文化庁ホームページでは、

『円滑な通関検査に資するとともに,貴重な国民の財産である文化財が誤って海外に流出することを防
ぐため,古美術品を海外に輸出しようとする際には,当該輸出品目が国宝・重要文化財に指定されてお
らず,重要美術品等認定物件にも該当しないことの証明を,税関に対し提出する取扱いとなっております』

と『古美術品輸出鑑査証明書』の発行を推奨しております。

これらを踏まえて…
本日から複数回に分けまして在中国日本大使館のHP内にある
【「文化財海外持ち出し審査基準」に関する通知(仮訳)】をもとにして、くまねこ堂流に記事を
掘り下げていきたいと思います。

まず第一回目は中国文物「書画」について書き進めていきたいと思います!
書画については以下のように分類がなされ、規定が定められております(在中国日本大使館HPより)

3絵画、書法
3.1中国画及び書法   1911年以前のものは持出禁止
1911年より後のものは人名表を参照して執行
 
肖像、映像、画像、風俗画、戦功図、紀事図、行楽図等 1949年以前のものは持出禁止
本人またはその親族に属する肖像、映像、画像等はこの限りではない
 
3.2油絵、水彩画、ガッシュ デッサン(スケッチを含む)、マンガ、版画の原作と原版等を含む 1949年以前のものは持出禁止
1949年以前のものは人名表を参照して執行
 
重大な歴史的、芸術的価値を有し、広範な社会的影響を伴うもの 一律持出禁止  
3.3壁画 宮殿、廟宇、石窟、古墳中の壁画等 1949年以前のものは持出禁止  
近現代の著名な壁画の原稿、設計案及び設計図 一律持出禁止

書画以外にも多くの文物鑑定の規定が「1911年」と「1949年」に置かれているのですが、1911年は辛亥
革命によって中華民国が建国した年、1949年中国大革命によって中華人民共和国が建国した年というこ
とに由来していると推測ができます。

文物局には鑑定の際に基本となる人名表が存在するそうですが、残念ながらHPなどでは公表はされて
おりません。
100年前に既に「四億の民がいる」と歌にまで唄われているだけあって、なにしろ中国の代表的書家の
多さときたら大変なものなので、清から中華人民共和国の時代に活躍したほんの一部、それも独断と
偏見、順不同での名前のご紹介となりますこと、ご了承くださいませ。

金農(1687-1763)、何紹基(1799-1873)、呉昌碩(1844-1927)、康有為(1858-1927)
于右任(1879-1964)、王雪濤(1903-1982)、賀天健(1891-1977)、黄君壁(1899-1991)
魏紫煕(1915-2002)、啓功(1912-2005)、黄冑(1925-1997)、黄賓虹(1865-1955)
呉湖帆(1894-1968)、劉海粟(1896―1994)、謝稚柳(1910-1997)、李苦禅(1899-1983)

などなど。。。
いずれも人気の高い書家、画家になりますが、王雪濤は中国美術家協会の理事長、黄冑は同協会の
常務理事をされた方で、また政治家の傍ら書家として名を成した方には于右任、康有為のほか、
毛沢東も中国の代表的な書家として数えられております。
これらの方々が文物局の鑑定人名表のなかに登録されていると推測ができますが、恐らくこちらも
人物によって「一律持出禁止」「物によって」などの規定が定められていることと思われます。
いずれにせよ骨董の世界は奥深いですね~

また後日、中国文物について第二弾を掲載させていただきたいと思います!!!

こばちゃん

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