「中国文物局」による「文化財海外持ち出し審査基準」についての考証~第3話!


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本日も引き継きまして、くまねこ堂流に「中華人民共和国文物保護法」「中華人民共和国文物保護法実施条例」に基づいた「文化財海外持ち出し審査基準」について記していきたいと思います!
今回は「9、輿、服」について取り上げてみたいと思います!
日本では重要文化財級の骨董品が海外持ち出し禁止のラインになっておりますが、中国では庶民の生活用品までこと細かく分類がなされており、さすがは歴史大国・中国!

9輿・服
9.1車・船・輿・駕籠 部品を含む 1911年以前のものは持出禁止
9.2車の道具、馬車の道具 部品を含む 1911年以前のものは持出禁止
9.3靴・帽子 1911年以前のものは持出禁止
9.4衣服 1911年以前のものは持出禁止
9.5首飾り 1911年以前のものは持出禁止
9.6装身具 1911年以前のものは持出禁止

「輿(こし)」という言葉はなかなか聞きなれませんが、移動手段のひとつであり、日本流にいうならば「駕籠」ですが…そのような質素なものではなく「お神輿」といえばどんなものか想像がつきやすいかと思います。


中国の輿(※Wikipédiaより)

輿にも世界各国たくさんの種類があるそうで、庶民のなかの手軽に利用のができる簡素な輿から王族などが使用する豪華絢爛なものまで…
当時の輿に関する写真をみてみますと、なんとも優雅でのどかですね!

現在日本で輿に乗る機会はそうそうなく、相当昔に廃れてしまった乗り物なので「1911年以前」と言われてもピンときませんが、なんと中国、インド、ミャンマーなどの一部の地域ではいまだに存在するそうです!
文物局では、輿の本体のみならず部品や、自動車、馬車、船なども持ち出し禁止項目に挙げおり、現役の移動手段だからこそ、より一層貴重な生活資料として取り扱いが行われていると思われます。

そして生活資料として、やはり欠かすことができないのが同じく分類されている「服」ですね。
この在中国日本大使館の表を見る限りでは「民族衣装」が別に存在するので、「9類」に分類されている「服」とは庶民の生活用品としての何の変哲もない「服」と推測が出来ます。
日本でも同じ事が言えますが特別な時にしか着用しない「民族衣装」は大切に保存されていることが多いのですが(軍服、大礼服然り)、1911年以前とはいわずとも昭和戦前時代の普段着の洋服、和服というものの現存数ですらかなり低く、さらに虫食いなどがなく状態が良好なものといったら珍品の部類に入るのではないでしょうか。

「清時代 服装」の画像検索結果

上図は「旗袍」を身にまとう清時代(1644-1911)の女性たちですが、「旗袍」とはチャイナドレスのことを指すそうで、かつて日本では「支那服」と呼んでおりました。またチャイナドレスという言葉は和製英語で(!)、海外では「 Mandarin dress マンダリンドレス」と言うそうです。
着物にも銘仙、絽、錦紗、紬などの種類があるように、旗袍にも身分や状況に応じて生地や柄が区別されていたと思われますし、写真が珍しい時代の被写体になった人々は盛装して撮影にのぞんだことでしょう。
以上を踏まえると、庶民の旗袍はもっと質素なものだったと推測が出来ます。

上図を見る限りでは現在私たちが想像するようなチャイナドレスとはイメージが異なる感じがいたしますが、実は現在にも通じる下図(李香蘭)のようなチャイナドレスは1920年代に世界的に巻き起こったモダニズム旋風によって、道徳的な部分で肌の露出をすることが許される風潮になったことで可能になった型であります。
日本のモガは洋服を着用することでモダニズムを体現した訳ですが、中国モガは従来の普段着の型を変えて独自のモダニズム時代を築いていきました。

「李香蘭」の画像検索結果

従って1920年代以降に生まれた、肌の露出のあるチャイナドレスは中国文物局の海外持ち出し基準からは外れるということになりますが、法令の改訂が行われれば、これらの型のチャイナドレスも今後は持出禁止になる可能性が大いにある訳ですね。

また文物局の海外持ち出し禁止項目には「服」ばかりではなく、帽子、靴、装飾品なども挙げられておりますので、中国独特の習慣であった纏足靴などもその対象になると思われます。

…というわけで、本日は9類の輿・服について取り上げさせていただきました!

こばちゃん


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