豊昌の根付をお譲りいただきました~出所をたどると高橋是清に⁉ 財界人には根付コレクターが多い⁉
先日は船橋市習志野台のお宅へお伺いしました!切手、外国切手、古銭、外国のコイン・紙幣、将棋の駒、アクセサリー、銀杯、腕時計、盃、陶磁器等お譲りいただきました。ありがとうございます!
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さて今回は、こんな逸品を紹介します。根付です。
サルとウサギが抱き合っていますが、これはどういう解釈ができるでしょうか。仏教の説話ではよく擬人化される両者ですから、いろいろな見方ができるでしょう。
そうした解釈を膨らませつつ、現在わかっている事実を挙げてまいります。
そもそも根付とは何でしょうか。それを外形的に説明するなら、江戸時代に留め具として用いられた、堅い木材や象牙の彫物ということになります。江戸時代初期は実用性が重視されて簡素なものだったようですが、次第に装飾性が追求されていったと考えられています。現存している有名な根付コレクションは、昭和戦前期の財界の大物の郷誠之助の遺品が知られており、それらは東京国立博物館に寄贈されています。
それでは、上掲画像の根付の制作者は誰でしょうか。銘はこのようになっています。
このように「豊昌」との銘があります。豊昌とは、1856(天保6)年に、現在の兵庫県にあたる丹波国の篠山(ささやま)藩御用彫物師となった、内藤豊昌のことです。それ以来この一族は、彫物師と仏具業を代々引き継いでいます。
くまねこ堂で買い取らせていただいた経緯につきまして、概略を述べていきます。ご依頼くださったのは、80代の女性の方でした。この方のお話によれば、この根付に出会ったのは、働きに出たばかりの17歳のときであったといいます。当時の上司の机にあった根付が、あまりにかわいらしかったので目にとまったとのことです。一方で、上司だった方は、昭和期に蔵相として昭和恐慌の対応にあたったことで有名な高橋是清の親族でした。有名コレクターとして先に郷誠之助の名前を挙げましたが、高橋是清も同様に熱心な根付コレクターだったのでしょうか。
その後、嫁入り道具の一環として譲り受け、以来大切になされていたとのことでした。根付それ自体の価値とともに、ご依頼者さまの個人史に関わるものであることが想像されます。幸運なことに、ご自宅の整理に際しまして、そうした逸品をくまねこ堂にお譲りいただくことができました。ご依頼者さまにおかれましては、あらためて感謝申し上げます。
ところで、干支を参考にするならば、お調子者のサルに引っ張られて困惑気味のウサギ、というように見えますが、実のところ両者はどういう関係なのでしょう?
くまねこ堂は古本、骨董品や絵画、アクセサリーなど幅広いお品物の買取りをしております!お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!
小野坂