【第5回 – ①】「汝窯天青釉洗」、香港サザビーズにて●●億円で落札!!
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こんにちは、クラニャンです!
今年10月初めに、香港サザビーズの競売で「北宋汝窯天青釉洗」が中国陶磁器史上最高額で落札されました。 このニュースをきっかけに、くまねこ堂ブログでは「汝窯」の青磁ってどんなものなの?という疑問について、シリーズで考えてまいりました
第1~3回(10月15日~17日)ブログでは、まず汝窯青磁のイメージをつかむため、近年の国内展覧会から実際の作例をいくつか検討しましたね。
後半の第4~7回では、汝窯の研究史を振り返りながらもうすこし深く勉強していきたいと思います。
前回第4回(10月22日)は、「『汝窯』という名称はどこから出てきたの??」というテーマでお話ししました。
「汝窯」は、宮廷御用達のやきものを指す名前として、早くも北宋末~南宋時代の諸文献に登場します。
しかし長らく研究史上では、その「汝窯」が実際にどのような作品群を指しているのか突き止められずにいました。
今日明日は、第5回「これが汝窯…?」と題し、20世紀前半の研究者たちが抱いていた汝窯像の変遷を見ていきたいと思います。
なお前回に引き続き、『聚美』Vol.22、学研プラス(Gakken Mook)、2017年を参考文献としています。
【第5回】これが汝窯…?
20世紀前半における汝窯像の変遷
①青白磁(景徳鎮窯)=汝窯?(20世紀初頭の説)
20世紀初頭、イギリスの研究者を中心に提唱されたというのが、汝窯とは「青白磁」↓ のことではないか?という説。
んん…?これって青磁?白っぽく見えるけど…と思われるかもしれません。
そう、「青白磁」は青磁ではなく、青みがかった「白磁」に分類されるやきものです。
こちらは一般的な白磁と同じように、純白の胎土に透明な釉薬をかけてつくられますが、釉のなかに微量に含まれる鉄分が還元焼成によってうっすらと青く発色しています。以下↓の青白磁には、青みがもっとはっきりと出ていますね。

「浦上蒼穹堂」さま2013/09/30コラムより(http://www.uragami.co.jp/blog/2013/09/19.html)
青白磁は、宋・元時代の景徳鎮(けいとくちん)窯↓で盛んにつくられ流行しました。「影青(いんちん)」とも呼ばれ、月の光を浴びてぼんやりと発光するような青色が美しいとされています。
20世紀初頭のイギリスでは、このような磁器こそが宋代の文献に名高い「汝窯」だ!と考えられたのですね。
第5回「これが汝窯…?」は明日へと続きます♪
by クラニャン