戦時中の少年向け軍事雑誌『航空少年』『機械化』他多数入荷しました!

 先日は、文京区白山に伺いまして、時計、掛軸などを拝見させていただきました。連日の御依頼をいただいておりますこと、感謝申し上げます。
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 今年で太平洋戦争終結から75年が経ちます。各地で戦争体験を語り継ぐための様々な試みが進められています。今月初めのことになりますが、埼玉県桶川市の「桶川飛行学校平和祈念館」の開館が報じられました。同館は、旧日本陸軍の飛行学校分教場の建物などを復元、整備した施設とのことです。

※平和祈念館がオープン 埼玉県桶川市〔地域〕(時事通信社、2020年8月5日)
https://bit.ly/3bn9KPn

 ところで、くまねこ堂には最近、戦時中の少年向け軍事雑誌が入荷しました。今回は、旧陸軍の飛行学校を復元した「桶川飛行学校平和祈念館」開館のニュースとの関連で、戦闘機を扱った雑誌を紹介していきます。

『航空少年』『機械化』

 『航空少年』は、現在まで続いている『子供の科学』で知られる誠文堂新光社が発行していた雑誌です。他方、『機械化』は機械化国防協会が発行していた雑誌です。機械化国防協会は1940年に設立された、陸軍省兵器局でキャリアを積んだ吉田豊彦を会長とする団体です。

 誌面の雰囲気について、若干紹介していきます。下の画像の『航空少年』(1942年9月号)には、吉川英治の手になる「空の軍神」という作品があります。ここには、ある航空部隊長の死を取り上げ、「空の軍神」なった彼は生きているとの表現まであります。しかも、その航空部隊長に憧れているだけではだめで、「未来の軍神」の登場に期待すると読者の子どもたちに奮起を促しています。

『航空少年』『機械化』

 その一方で、直後の記事では、戦死したその航空部隊の部下のインタビューを掲載するなど、実話路線に転じています。さらには、敵国機の図解や、工作模型のための設計図など、相当にテクニカルな記事も散見されます。

 こうした、神秘的な精神論と戦死の事実との混合、あるいは精神論と技術論とが同居する誌面には、やはり戸惑いを覚えます。それゆえに、当時の雰囲気を知るのには恰好の題材なのではないか、とも思います。上記で言及しました『航空少年』と『機械化』以外の雑誌も入荷していますので、機会があれば再度、戦時期の少年雑誌について取り上げていきます。

 ところで、そのような不気味な「混合物」性を念頭に読み進めていくべきか、と考えていたとき、いくつかの雑誌で次のような広告を目にしました。

『航空少年』『機械化』

 …。少年雑誌に「頭を良くする薬」とは、これ如何。これこそ、神秘主義と合理主義の混合物ではないか、と驚かずにはいられません。この時期の覚せい剤(ヒロポン)の広告にも似ている感じがすることもあって、どうも頭から離れません。

 これら戦時中の雑誌は、現代の私たちにとっては、違和感なしに読み進められる代物ではないのかもしれません。しかし、「戦時のことだから仕方ない」という色眼鏡を通した見方だけで済ませられるかというと、そうでもない気もしています。もしかすると、私たちが生きる現代にも、戦時中と共通するところがあるかもしれません。

 くまねこ堂では今回取り上げたような、年代物の雑誌といったマニアックな古本も扱っておりますし、骨董品や絵画、掛軸、アクセサリーなど幅広いお品物の買取りもしております。また、遺品整理なども行っております。お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。

 スタッフ一同心よりお待ちしております。

小野坂


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