早稲田大学の学生誌『ワセダ』の創刊号(1965年4月)と第2号(1965年11月)が入荷しました~ベトナム戦争の最中に「理解と寛容」を求めて

 先日は、横須賀市久比里のお宅へ即日出張買取でうかがい、ハガキ、アクセサリー、古本(海洋学、水産学)、洋食器、酒、ギター、貴金属、腕時計、化石、金歯をお譲りいただきました。このように採算次第では即日でもご対応してまいりますので、どうかご依頼のほどよろしくお願い申し上げます。
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 最近、くまねこ堂に、興味深い雑誌が入荷しました。

早稲田大学学生誌 ワセダ

 早稲田大学の学生誌『ワセダ』の創刊号(1965年4月)と第2号(1965年11月)です。
創刊号には、ケネディ米大統領の実兄で早稲田大学とも縁の深いロバート・ケネディが前文を寄せています。その一部を引用します。

 「私の国のほとんどの学生達は、これらの自明の理〔前段は言論の自由について――引用者〕を、我々の時代に与えられた課題の中で、もっとも生命力に溢れた重要な部分として、受け取っています。理解と寛容を追求するにあたって、学生達は、ある一つの大きな冒険すなわち、平和部隊へ向って努力してきております。彼等は、他の人達の思想、希望や夢に耳を傾けているのです。私は日本の学生諸君も、同様に平和に献身し、自己を表現する手段を探し求めていることを知っています。学生達は、自分達の意見に耳を傾けてもらいたいと思っているし、又世界も彼等の意見を聞こうとしているのです。」

 こうしたメッセージが、アメリカの有力政治家から伝えられたことは注目すべきでしょう。ここでロバート・ケネディは、ベトナム戦争の最中に「理解と寛容を追求」することを掲げていたのですから、なおのこと重要なメッセージといえましょう。

 ベトナム戦争は、植民地にされていた国あるいは民族の自立をかけた闘争であるとともに、米ソを両極とする東西冷戦の影響を強く受けた出来事でした。実は、この問題を日本人自らの問題として問い直すために書かれたとも思える論考が、『ワセダ』第2号に掲載されています。ベトナムのように、民族の自立と東西冷戦が交錯した形で「熱戦」が起きた地域、そして日本の歴史と切り離すことのできない国、といえば韓国(大韓民国)・北朝鮮(朝鮮人民共和国)がまず思い当たります。実際に、ベトナム戦争が日を追うごとに深刻化していく中で、日本の朝鮮植民地化とそれに対する朝鮮独立運動の歴史を振り返る論考が、『ワセダ』第2号に掲載されているのです。

早稲田大学学生誌 ワセダ

 その論考は、上掲の画像の、山本憲一「万歳事件」です。なおこの論考には、1919年3月1日の朝鮮独立運動(三・一運動)の宣言書が全文掲載されています。細かいことに思われるかもしれませんが、1965年11月の雑誌ですから、これは驚くべきことです。著名な史料集である、姜徳相編『現代史資料25 朝鮮 1 三・一運動 1』はみすず書房から1966年1月に刊行されています。三・一運動の宣言書が日本で一般に知られるようになったのは、通常は『現代史資料』の刊行以降のことといわれます。したがって、それ以前に『ワセダ』は同宣言書の全文を掲載しているということになるのです。この一点の事実だけでも、執筆者・山本憲一さんの並々ならぬ気迫を感じます。

 くまねこ堂では今回取り上げたような、歴史的価値の高い雑誌も扱っておりますし、骨董品や絵画、掛軸、アクセサリーなど幅広いお品物の買取りもしております。また、遺品整理なども行っております。お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。

 スタッフ一同心よりお待ちしております。

小野坂


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