画狂老人、葛飾北斎の作品のご紹介
「凱風快晴」
北斎の名前を世界にとどろかすこととなった名作です。
初夏の早朝、凱風(南風)を受けて赤く染まった富士の姿を切り取った作品です。
構図やモチーフもさることながら、この作品が世界で強烈なインパクトを与えた理由はなんといっても配色の妙です。
イワシ雲が散らばる青空、富士の山肌、富士の裾野の樹海。
この3つのモチーフをたった3色で表現しています。
その3色というのは
・朱色
・紺青(プルシアンブルー)
・鉄色
です。
たった3色にも関わらず、べた摺・グラデーション・点描・ぼかし、と技巧を尽くすことで単調ではない味わい深い作品となっています。
さらに、この青空に使われている青い顔料は、当時ドイツのベルリンでうまれた世界初の人工顔料「プルシアンブルー」が使われています。
プルシアンブルーは濃淡によってまったく異なった雰囲気がでるのが私も大好きなんですが、その濃淡の差によって浮世絵に遠近感がでやすかったそうです。
北斎に影響を受けた画家は数多く、有名なところではゴッホやドガ、モネ、マネなどの印象派の画家。
アンリ・リヴィエールは葛飾北斎の「富嶽三十六景」に刺激され、「エッフェル塔三十六景」を制作しています。
19世紀末にヨーロッパで広まる「ジャポニスム」と呼ばれる潮流に大きな影響を与えたことからも、北斎が人類に与えたものは大きかったのではないかと思われます。
ヨシダ