昭和初期の政治経済状況と郵便貯金の関係を写した興味深い一枚~郵政官僚のアルバムのご紹介その3

 昨日、江東区猿江のお宅に買取にうかがわせていただきました! 即日出張での買取をご依頼いただきありがとうございます。迅速に対応させていただきますので、どうぞ本ページ右記のバナーなどよりお問い合わせをくだされば幸いです。
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 先日来、郵政事業を担当していた官僚の方のご遺族よりお譲りいただいた、日中戦争期の従軍の様子を記録したアルバムにつきまして紹介させていただいております。まずは、中国やモンゴルなどの外地における記録をもとにお伝えしてきましたが(※)、内地でのアルバムにも興味深い写真が含まれておりますので、今回はこちらを取り上げます。

※日中戦争中の北京、上海の様子を収めたアルバムをお譲りいただきました!(くまねこ堂骨董ブログ、2020年3月9日)
https://www.kumaneko-antique.com/15519/

※郵政官僚の従軍アルバムのご紹介その2 日中戦争期の野戦郵便局の写真がございました!(くまねこ堂骨董ブログ、2020年3月11日)
https://www.kumaneko-antique.com/15537/

 これまでと同じく、画像を掲示した上で、背表紙のタイトルは「 」で記し、確認できた日付と大きさを付記し、該当の写真についてご紹介いたします。

IMG_3011

▲「1 大正から昭和の始め頃」タテ18㎝×ヨコ26. 5㎝
 茶色の表紙に「PHOTO=ALBUM」との題字と田園風景に通る道路の絵があしらわれています。ここに掲げた写真は、タイトルが見えづらいのですが、「地方別郵便貯金状況」という棒グラフのある一室です。地方別の郵便貯金の情報がまとまっているということは、中央の役所、すなわち逓信省の一室なのではないかと予想されます。そこに濱口雄幸内閣(1929-1931年)の閣僚らが揃った場面を写したものなのでしょう。前方左から、小泉又次郎逓信相、若槻礼次郎元首相、幣原喜重郎外相の姿が見えます。その後ろには濱口雄幸首相、さらにその後ろには宇垣一成陸相の姿もあります。

 濱口内閣が掲げた一大政策は、日本円の金本位制への復帰でした。それも第一次世界大戦以前のレートである1ドル=2円という旧レートとよばれる相場での復帰を試みました。しかし、関東大震災や昭和恐慌の影響もあり、実際の円相場は下落していました。そのため、この旧レートでの復帰を望むということは、円高に誘導することを意味しました。それがために、輸出不振や割安の海外製品の流入が懸念され、貿易収支の行く末や政府の財政政策のあり方が大いに議論されました。

 そんな中で、郵便貯金の持つ意味合いは、政府の財源として大いに注目されました。この写真は、そのような政治・経済の情勢を写し取った興味深い一枚といえると思います。

 もしご自宅を整理された際に、古いアルバムや紙束などが出てまいりましたら、お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております。

小野坂


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