郵政官僚の従軍アルバムのご紹介その2 日中戦争期の野戦郵便局の写真がございました!

 郵政事業を担当していた官僚の方のご遺族よりお譲りいただいた日中戦争期の従軍の様子を記録したアルバムにつきまして、前回ご紹介させていたしました(※)。その続きとして今回は、天津、徐州、さらにはモンゴルの写真を収めたアルバムを取り上げていきます。

※日中戦争中の北京、上海の様子を収めたアルバムをお譲りいただきました!(くまねこ堂骨董ブログ、2020年3月9日)
https://www.kumaneko-antique.com/15519/

 前回と同様に、画像を掲示した上で、背表紙のタイトルは「 」で記し、確認できた日付と大きさを付記し、いくつかの写真についてご紹介いたします。

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▲「3 従軍時代 山海関、天津方面」タテ25㎝×ヨコ18㎝

 このアルバムの表紙には、金字の行書体で「聖戦の思ひ出」と書かれています。
 日付と場所は明記されてはいませんが、「山海関、天津方面」のいずれかの野戦郵便局なのでしょうか。2枚目の写真に写っている荷物には「慰問」の文字が見られます。中身はどのようなものだったのでしょうか。慰問袋は、兵士のために内地から日用品を送るものですが、そうした郵送物を監督する仕事をしていたのかもしれません。

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▲「14 従軍時代 山東各地、徐州方面、上海」タテ25㎝×ヨコ18㎝

 表紙は同じく「聖戦の思ひ出」とありますが、下半分は中国の楼閣のようなものが描かれています。このアルバムで目を引くのは、「だいじゆうにやせんゆうびんきよく」(第12野戦郵便局)の前での集合写真です。郵便局名は地名がつく場合と、上掲写真のように数字がつくものがあります。郵政官僚の方の従軍アルバムならではの一枚といえましょう。野戦郵便局員は戦火の中、兵士に護衛されながら配達業務に従事していたようです。その様子は、「のらくろ」で知られる田川水泡による「軍事郵便」という作品で描かれました(※)

※後藤康行「戦時下における軍事郵便の社会的機能―メディアおよびイメージの視点からの考察―」『郵政資料館研究紀要』第2号(2011年3月)、59頁。
https://www.postalmuseum.jp/publication/research/docs/research_02_04.pdf

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▲「16 従軍時代 蒙古方面」タテ25㎝×ヨコ18㎝
 こちらも「聖戦の思ひ出」の題字です。モンゴルの草原をラクダで移動する様子が撮影されています。ここで写されている一幕も、やはり郵政事業の監督業務の一環なのでしょうか。同じお宅よりお譲りいただきました、中国聯合準備銀行券、蒙古聯合自治政府下の蒙疆銀行など日本の傀儡政権下で発行された紙幣との関連でも興味深いことがございますので、ぜひ下記リンクのページ(※)もご覧ください。

 

※旧満州国の郵政事業、紙幣流通に関する記録・物品をお譲り頂きました!(くまねこ堂骨董ブログ、2020年3月5日)
https://www.kumaneko-antique.com/15494/

 近年、歴史研究において軍事郵便が注目されるようになってきました。軍事郵便の価値は今後さらに高まっていくことでしょう。もし軍事郵便らしきものをご自宅などで発見されましたら、お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております。

小野坂


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