日露戦争時のロシア兵俘虜収容所の様子を写した絵はがきをお譲りいただきました
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書籍・骨董の買取でお客様のお宅へおうかがいしておりますが、その現場で思いがけず興味深い品々に出会うこともございます。戦前日本の絵はがきなど、そのような例に挙げられます。
絵はがきは、遺品ということであれば、ありふれた物品のひとつのように思われます。しかしながら、歴史学においては、文献史料以外の史料という観点から絵はがきに注目が集まるようになってきています。絵はがきの価値については、近年再評価が進んでいるところなのです。
最近お譲りいただきました絵はがきに、次のものがございました。日露戦争時のロシア兵俘虜収容所の様子を写したものになります。
この絵はがきには、「名古屋東本願寺俘虜収容所庭内遊戯ノ光景」とのタイトルがついています。「遊戯」にあたる英語は”SPORT”となっていますが、何かの競技スポーツの光景というわけではなさそうです。ロシア語では”Игры”(イグリー)とあり、ゲームという意味の単語になっています。そこで再度この写真を見てみると、弦楽器を演奏している様子が写っていることに気づきました。
明治日本における西洋音楽受容の歴史の中で、ロシア経由の影響は無視できません。著名な日本人音楽家には、現在の中国東北部、満州に関わりのある人物が多いことも指摘されています。とりわけ、ロシアのシベリア鉄道と連結する東清鉄道の通るハルピン市などは、ロシアの極東における一大拠点でした。
その一方で、日本内地におけるロシア音楽の受容ということは、あまり注目されてはいないのではないでしょうか。今回紹介した絵はがきにある「名古屋東本願寺俘虜収容所」のように、内地でロシア音楽に接する機会は意外に存在していたのかもしれません。Очень хорошо!(とてもいいね!)
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小野坂