石島績『水戸烈公の医政と厚生運動』全2巻(日本衛生会、1941-1943年)が入荷しました~幕末、アジア・太平洋戦争、新型コロナ禍の現在、という3つの時代の医療・衛生

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 くまねこ堂では、古書については主にAmazon上で出品しておりますが、新刊書のみを扱っているわけではありません。昭和戦前期に刊行された、現在では入手困難な本も買取しています。とはいえ、80年近く前は、そうした本もまぎれもなく新刊書であったわけです。今回の投稿では、そうしたかつての新刊書を読む、という形である本を紹介していきます。

水戸藩 医政

 上掲の画像は、石島績『水戸烈公の医政と厚生運動』全2巻(日本衛生会、1941-1943年)です。そこで迂遠ではありますが、本書をひもとく前に思い浮かんだことを列記してみましょう。まず、水戸烈公とは誰のことだろうか、とつまづきました。徳川御三家の水戸藩主(水戸藩は現在の茨城県中・北部にあたります)に違いないですが、烈公は何代目なのだろうか、と。時代劇で印籠を出すのは、2代目藩主で義公の徳川光圀ですから、本書とは関係ないですね。というわけで、水戸市立図書館のウェブサイトを確認したところ、烈公とは、水戸藩第9代藩主徳川斉昭だとわかりました。斉昭が水戸藩主を継ぎ、隠居後は幕政に関与するなど活躍していた時期は、1830-50年代の幕末期にあたります。

※烈公徳川斉昭の医療政策について(水戸市立図書館ウェブサイト、2018年4月1日)
https://www.library-mito.jp/archive/overview/?id=4

 ただ、上記を確認して、さあ読むぞとはならないのが厄介なところです。それは本書の出版年にも注意する必要を感じたからです。奥付によれば、『水戸烈公の医政と厚生運動』の上巻が日米開戦直前の1941年7月に、下巻が1943年9月に発行されています。すなわち本書は、戦時下において、幕末の水戸藩の医療行政を振り返る形で、それも日本衛生会の出版事業の一環として石島績(いさお)によって執筆されたものだといえます。こうした「かつての新刊書」を2022年の私たちが読む、というのは、幕末、アジア・太平洋戦争、新型コロナ禍の現在、という3つの時代が、医療行政を通じて重なる体験を意味します。

※石島績については、詳しいことはわかりませんでした。

 もっとも、そうしたワクワクするタイムトラベルをするために、それ相応の準備が必要なことは明白です。そこで、『水戸烈公の医政と厚生運動』を読むためのポイントを、上記3つの時代背景に関わる形で挙げていこうと思います。

(1)斉昭が藩主であった、幕末の水戸藩は医療・衛生の振興に力を入れていた。一方で水戸藩は攘夷思想が強く、外国人に対して攻撃的であった。だとするとこの時期の水戸藩では、医療の知識を学ぶことは、水戸藩においては攘夷思想とどのような関係にあったか。医薬品の国産化を目指すという形で排外的な一面も抱えつつも、斉昭はいずれは外国に対抗できるようになるために、まずは海外の知識を取り入れようとしたのかもしれない。

(2)昭和の戦時下において医療・衛生を語ることは、戦争遂行の努力と無関係ではあり得ない。しかし、目の前の課題と幕末水戸藩の医政を振り返ることとは、どのような関係にあったのだろうか。攘夷思想の旗振り役の水戸藩と、大東亜共栄圏を掲げる帝国日本とが重ね合わせるような語りが、『水戸烈公の医政と厚生運動』においてみられるだろうか。

(3)上記と同じように、私たちの時代背景とは~であるなどと述べることは難しい。けれども、上記2つの時代ほどに、現在の日本政府は医療・衛生問題に対して真剣に取り組んでいるのだろうか。なぜ、布マスク2枚が戸別に届けられ、そして今、その在庫が廃棄されようとしているのであろうか。マスクの例それ自体にとどまらず、日本政府の医療・衛生行政の全般に真剣さがみられないとすれば、原因は何だろうか。

水戸藩 医政▲『水戸烈公の医政と厚生運動』下巻の「結論」。医療・衛生行政には、科学的技術とあわせて「皇国民族伝統精神」が要求されるという。

 以上のような疑問点を念頭に置きながら、その答えを求めて『水戸烈公の医政と厚生運動』を読み進める、ということなら私にも可能な気がしてきました。たまたま目にした本を、1ページ目から順に読んでいくことは意外に難しいものです。まずは、「3つの時代」作戦で本書を読んでいこうと考えています。

 くまねこ堂ブログでは、買取やその後の整理で接した書籍、物品などを、なるべくタイムリーな形で紹介していきます。本年もまたよろしくお願いいたします。

小野坂


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