アルバニア社会主義人民共和国の指導者、エンベル・ホッジャ著の日本語訳が入荷しました~衝撃のアルバニア外交!

 ロシアのウクライナ侵攻に対する批判が、国際社会で高まっています。先日も、アルバニアがロシア、ウクライナ両国の大使館がある通りの名称を、ウクライナの抵抗を称える意味で、「自由ウクライナ」に変更するとの発表がありました(※)。

※アルバニア、ロシア大使館がある通りを「自由ウクライナ」に改称(ロイター、2022年3月6日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-albania-street-idJPKBN2L30B0

 アルバニアは、バルカン半島の一国で、南側はギリシャに接しています。またアドリア海を挟んでイタリアにも面しています。アルバニアもウクライナ同様、反ファシズム戦争の歴史を持ち、かつ旧ソ連、ロシアと因縁浅からぬものがあります。アルバニアの話題を挙げたのは、タイムリーにも、以下の本が入荷したからです。

アルバニア労働党

 左が、エンベル・ホッジャ『アルバニア労働党第7回大会における報告』日本共産党(左派)中央委員会訳(人民の星社、1977年)、右は、エンベル・ホッジャ『修正主義と戦うアルバニア労働党』マルクス・レーニン主義文献翻訳グループ(人民の星社、1978年)です。

 第二次世界大戦中のアルバニアは、独伊に対する抵抗運動をソ連軍とともに貫徹し、1944年に全土解放、1946年にアルバニア人民共和国(1976年からアルバニア社会主義人民共和国)建国を宣言しました。この政権の指導者が、上記書籍の著者である、アルバニア労働党第一書記のエンベル・ホッジャなのです。

 ホッジャ率いる第二次世界大戦後のアルバニア外交で目を引くのは、ソ連、ユーゴスラヴィア、中国といった共産主義陣営諸国との協調関係…ではなく、立て続けに上記諸国と対立していったことです。それゆえに、「ホッジャ主義」と呼ばれる独特の路線は、たとえば日本共産党(左派)などの非主流派の共産党員というファンを得ることになったのでしょう。

アルバニア労働党▲ホッジャ『アルバニア労働党第7回大会における報告』の「刊行にあたって」

 そうした大国に従属することを拒んできたアルバニアが、現在のロシアによるウクライナ侵攻に対してウクライナ支持を鮮明にしたことは注目に値します。アルバニアの歴史についての手がかりは、日本語文献ではやはり上記の2冊です。明らかに党派的な偏りが感じられますが、そのような偏りを具体的に知ることこそ、アルバニアの歴史を理解する上で避けては通れないのかもしれません。

 冷戦が終結して30年余りが経過しましたが、社会主義の歴史が今日の情勢に与える影響は、私たちの想像以上に大きいのではないでしょうか。

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小野坂


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