【連載第4弾】中国文物局による文化財海外持ち出し禁止条例について【書籍 編】

「中華人民共和国文物保護法」「中華人民共和国文物保護法実施条例」に基づいた「文化財海外持ち出し審査基準」の考証、第四回目の本日は「7、図書文献」について、くまねこ堂流に掘り下げていきたいと思います!

今まで取り上げてきた項目はいずれも生活に関するものなので「生活資料の貴重品」でありますが、やはり機密文書や重要な情報を含む「図書文献」に関しては簡単に片付けることはできないようで、表を見る限りでは「1949年以前のもの」の規準が多く、かなり厳しく設定されているような感じを受けます。
博物館に展示されているのをご覧になったことがある方も多いかと思いますが、書籍のルーツといえる「竹簡、木簡」に関しては文字が無いものから一律持出禁止となっております。

7図書文献
7.1竹簡、木簡 文字が無いものを含む 一律持出禁止
7.2書簡 1911年以前のものは持出禁止
有名人の書簡 1949年以前のものは持出禁止
本人またはその親族の一般的な往来書簡はこの限りではない
7.3原稿 1911年以前のものは持出禁止
重大な歴史的事件と関係するもの、或いは著名人が書いた重要な文献、電報、手紙、題字、代表的な著作の原稿等 一律持出禁止
本人に属する手紙、題字、代表的な著作の原稿等はこの限りではない
7.4書籍 1911年以前のものは持出禁止
例えば図書集成、四部双書、双書集成、万有文庫等、残存量が多くない木版書、及び石印、鉛印の大部双書(揃っているもの) 1949年以前のものは持出禁止
重要な歴史的、学術的価値を有する新聞・雑誌、教材、図書等 1949年以前のものは持出禁止
重大な影響を有する出版物の初版或いは最も古い版 1949年以前のものは持出禁止
指導的人物の重要な注釈手跡があるもの 一律持出禁止
地方誌、家系図、族譜 1949年以前のものは持出禁止
7.5図籍 各種方式で印刷及び制作された天文図、地図、水道図、水利図、道程図、国境警備図、戦功図、製塩場図、行政区画図等 1949年以前のものは持出禁止
非公開で発売された各地の地図等 一律持出禁止
7.6文献・身上調書   1911年以前のものは持出禁止
重要な歴史的価値を有するもの 一律持出禁止
重大な事件或いは各群衆運動の中で配布、貼り付けられた宣伝ビラ、スローガン、漫画等 一律持出禁止
重要な戦役の戦況報告及び関連する宣伝品等 一律持出禁止

木簡が最も使用されたのが8世紀末ということなので、この時代に書き込まれたものが中心となると海外持ち出し禁止に指定されるのも頷けますよね。

また書簡、原稿なども持ち出し禁止のほか、なんと1949年以前に出版された書籍も一律持出禁止ということでなかなか厳しい!
中国のある古書通信販売店の総括サイトの日本語訳ページに目を落とすと『尚、出版形態の如何を問わず、軍事、政 治、思想、少数民族等に関する本で、上海港より出港時の税関検査等において当局に没収されそうな内容の本は、ご注文をお断りする場合がありますので、予めご了解下さい。』との記載があります。…まぁ、それは条例ですから当然の記載なのですが、それとは別に発送の規定を見てみますと「尚、ご注文頂いてから概ね二ヶ月経ってもお手元に到着しない場合は、何らかの理由で入手が出来なかったとお考え下さい。」って…。利用するのに覚悟を必要とするような記載がありました…。

またついでにはなってしまいますが、2012年にあるニュースが中国で報道されています。
50代の日本人男性が中国の海外持ち出し禁止条例に該当する漢籍(中国の和本)を日本に持ち帰ろうとして失敗したというものでした。
関税で没収された紙袋二つ分の漢籍と骨董品は、広東省文化財鑑定部での鑑定が行われましたが、58品のうち57品は持ち出し禁止の規定に該当するもので、残りの一品は持ち出し制限品というものだったそうです。
その後この男性がどのような処分を受けたのかはわかりませんが、意図的に流出を計画していた場合には懲役刑や罰金刑などが科されるそうです。
※没収された書籍の画像を見てみると表題に中国の随時代以前につくられた詩をまとめた書籍「古詩源」などが写り込んでおります。

骨董だけではなく中国の古書事情も見えてくるようですね。
それでは次は第5弾、中国文物局の海外持ち出し審査基準よりランダムでピックアップし、持ち出し禁止品について取り上げていきたいと思います!!

こばちゃん

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