吉田博の木版画(直筆サイン入り)をお譲り頂きました
神奈川県横浜市にて吉田博の木版画「槍ヶ岳」 (直筆サイン入り・大正15年制作)をお譲り頂きました。
左側余白に「自摺」と入っています。
吉田博は版画において、専門の職人を使うにはそれ以上に自分ができなければとの信念を持ち、時には自ら彫ったり摺ったりしたそうです。また、複雑な色彩表現のために、浮世絵の3倍以上の手数をかけたとも言われています。
作家の吉田博 は明治9年(1876年)生まれ、 昭和25年(1950年)没ですので、先日ご紹介した石川寅治と同世代、明治・大正・昭和を駆け抜けた画家/版画家となります。
福岡の中学修猷館に在学中、図画教師で画家の吉田嘉三郎に絵の才能を見出され、吉田家の養子となります。京都、東京で絵画の修業をし、なんと明治32年には画家の中川八郎とともにエイヤッと渡米します。
到着したデトロイトでは、一観光客として訪れたデトロイト美術館で、持参した水彩画が館長の目にとまり、この館長の尽力により「日本画水彩画展」が企画展示され、大成功を収めてしまうという、実力だけでなく大変な強運も持ち合わせていました。スゴすぎます。。。
この二人展はワシントン、プロビデンスに巡回し、二人はかなりの大金を手にし、それを元手にヨーロッパに旅立ったのでした。
風景画家・自然主義的リアリズムの作家と言われる通り、描く場所を探し求めるために、旅や山登りをする一生だったそうです。
大変エネルギッシュで尚且つ真摯に理想を追い求める作家さんであったのだなあ思います。
(吉田博全木版画集より)
byキョーコ