東京都内にて、大正~昭和期の新聞記事「年々増加する不良の話」の切り抜きが貼られたスクラップをお譲り頂きました
連続でご紹介している大正~昭和期の新聞記事切り抜き。
本日は、「年々増加する不良の話」シリーズ連載からです。
昭和4年の日付けが書きこまれていますね。
警視庁警部北紺屋署 飯島三安氏の談です。
手心を加へる少年法 落ち行く処は右傾派が多い
学生系統に属するものと一般青少年との区別はあるが何れも十八歳以上二十二歳未満のものが団長になつている場合が多い。而も斯うした不良性を帯びた者の将来は右傾的になり、右傾団に入るのが大体の彼らの常道であるのも面白い~
一番多いのは窃盗 危険なのは十八から二十の間
不良少年と一概にいつてもいろいろ手段とか方法があるが大体左記(以下)の三種で
一、硬派不良少年
二、軟派不良少年
三、掻浚、萬引、窃盗
金があればお互いに融通 彼等が目をつける異常な服装
大流し―団体を組んでゴロリゴロリと押し歩く一種の示威運動
ゴロマク―喧嘩を吹きかけること
ヒンプリ―関西方面でよく用ひられる脅迫のこと
オンリョウ―金を借りること
のゐ―玉の井のこと
メイド―亀戸のこと
番犬付―愛人のある女
ピンツキ―警視庁のリストに載つていること
キング―団長
親類―警察のこと
退院―出獄のこと
ヨタ―仲間の不良のこと
ズベ―不良少女のこと
不良の元祖は白井權八
「雉も鳴かずば撃たれまい・・・・テモ不憫なことをしたナー」
ポーン鈴ヶ森で有名な白井權八君は当時のモダーンで軟派の大将格であつた、今の軟派はあまり殺傷沙汰はないが、權八君時代には両方兼ねたのが多かつた~
団長格は~美少年を弟子とか或は稚児と称して自分の愛する少年を作つてゐた~
現在でも中学生や女学生間に斯うした風習は残つてゐる~
稚児の奪ひ合いから殺傷沙汰や決闘をすることがよくあつたものだ~
不良少年のつかふ言葉 怪しいと気付いたら警戒しなさい
年末に際してはびこり出す
ヨタル・・・丸ビルや銀座をブラつくこと
モーション・・・異性の後を追ふこと
スタート・・・異性をだましはじめること
バンド・・・女学生
ボタン・・・男学生
バラ・・・かたい女、素人の美人
カモ・・・おごってくれる人
トンボ・・・カフェーの女給
オケラ・・・一文無し
バンコウ・・・交番
ガチヤ・・・巡査
ナマ・・・現金
ドロン・・・逃げること
マゲル・・・借りる
ホンケ・・・警視庁
この他色々な言葉がありますがこれらの言葉は一番多く使用されるものですから女の方はこの言葉を覚えておき電車の中や活動館などでかうした言葉を使用するものがあつた場合警戒を怠らず其場を避ける事が必要です
(以上、誤字脱字があった場合にはご容赦くださいませ)
自分の身を守るためにこれらの不良言葉を覚えるのも楽じゃありませんね!
今の時代の感覚からすると今一つピンとこない記述もありますが、
当時の世相や風俗を読み取ることのできる貴重なスクラップ帖には違いありません。
まだまだつづきます
byキョーコ