買取事例
日露戦争時のロシア兵俘虜収容所の様子を写した絵はがきをお譲りいただきました
いつもくまねこ堂ブログをご覧くださりありがとうございます。
書籍・骨董の買取でお客様のお宅へおうかがいしておりますが、その現場で思いがけず興味深い品々に出会うこともございます。戦前日本の絵はがきなど、そのような例に挙げられます。
絵はがきは、遺品ということであれば、ありふれた物品のひとつのように思われます。しかしながら、歴史学においては、文献史料以外の史料という観点から絵はがきに注目が集まるようになってきています。絵はがきの価値については、近年再評価が進んでいるところなのです。
最近お譲りいただきました絵はがきに、次のものがございました。日露戦争時のロシア兵俘虜収容所の様子を写したものになります。
この絵はがきには、「名古屋東本願寺俘虜収容所庭内遊戯ノ光景」とのタイトルがついています。「遊戯」にあたる英語は”SPORT”となっていますが、何かの競技スポーツの光景というわけではなさそうです。ロシア語では”Игры”(イグリー)とあり、ゲームという意味の単語になっています。そこで再度この写真を見てみると、弦楽器を演奏している様子が写っていることに気づきました。
明治日本における西洋音楽受容の歴史の中で、ロシア経由の影響は無視できません。著名な日本人音楽家には、現在の中国東北部、満州に関わりのある人物が多いことも指摘されています。とりわけ、ロシアのシベリア鉄道と連結する東清鉄道の通るハルピン市などは、ロシアの極東における一大拠点でした。
その一方で、日本内地におけるロシア音楽の受容ということは、あまり注目されてはいないのではないでしょうか。今回紹介した絵はがきにある「名古屋東本願寺俘虜収容所」のように、内地でロシア音楽に接する機会は意外に存在していたのかもしれません。Очень хорошо!(とてもいいね!)
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くまねこ堂では様々なお品物の買取を行っております。それらお譲りいただきました品々を当ブログで紹介してまいります。また、書籍・古道具などのご処分をご検討の際は、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。
お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!
小野坂
夢を食べる獏の鹿角
令和の今日、様々な事象の研究が進み、原因が解明されてきた事が沢山ございますが、
昔は結構色々な事を、八百万の神々や妖怪さんの仕業としていた日本。
今の現実的な要因が目に映る時代も好きですが、
そんな時代もなんか人間味あって素敵だなあ~🍵😸とたまに思いを馳せています。
日本だけでなく、世界各地の歴史にも数多の「現実には存在しない(と、思われる)生き物」が、
古来から神話や伝奇に、
そして現在でも、ゲームや物語、シンボルマーク等、多種多様に!
よく描かれております🐉👹🦋!
世代を超えてもなお語り継がれるそんな生き物たちは、
どんな役割が与えられていてもどこか愛嬌があり、
私達を想像の世界へと誘ってくれる、不思議な存在だと思います!✨
今回は中国から日本へ伝来した伝説の生き物とされる、
獏(ばく)が彫られた鹿角細工がくまねこ堂にやって参りましたので
ご紹介させていただきます~
裏側はこのような感じです。
帯留めのような金具が付いていた形跡が見られます。
身体がウロボロスのように円を描いていたので、竜にも見えたのですが、
お顔が特徴的(特にお鼻)だったので獏と判断いたしました📖💡
獏(バク)
ー東南アジアや中南米に実際に獏という奇蹄類の動物は実在するが、中国には想像上の動物としての獏があり、毛は白黒の斑で、形は熊、鼻は象、目は犀、尾は牛、脚は虎のようだとされ、人間の悪夢を食ってくれるとの俗信があり、また、その皮を敷いて寝ると邪気が避けられるとする。日本では新年初夢のために獏の画を枕の下に置くとよいとする。ー
(「世界宗教用語大事典」より抜粋)
「夢を喰らう伝説の生き物」といわれており、
悪夢を見たときに獏がその悪夢を食べてくれると、
その悪夢はもう見る事がなくなるそうなのです。
これからも何度でも見たい!幸せな夢♡は
食べられても平気だったらイイナ🎵(ご都合主義)
大切なお品物をお譲り頂きまして、誠にありがとうございました。
かこさん
白玉の書鎮をお譲り頂きました。
みなさんは好きな宝石、鉱石ありますか?
昨今は鉱石ブームもあり、石に詳しい若い女性を多く見かけます。
また、メンズファッションでもここ数年ハイブランドの提案から一気にパールのネックレスが流行になりましたね。
ジュエリーやアクセサリーがお好きな方ですと、
金属の細工から選ぶ方がいれば、のせる石から選ぶ方もいらっしゃり、
結構好みが分かれるモノなような気がしております。💍🔮
今回は古来から宝石として愛されてきた
玉(ぎょく)の細工品をお譲り頂きましたので、
ご紹介させていただきます🐈
ほぼ不透明ではありますが、
うっすらと透明性もある白色に若干青み(写真によっては黄色み)がかったようなお色の白玉の書鎮です。
ぶどう(と思いました)にかじりついてる、こやつは何者。
裏側はこのようになっています。
玉の全体的に柔和な色味と表面の質感が相まって、
丸みのある果実と動物のからだの線が、生き生きと目に写ります。
下から見てみると、結構しっぽが長い。
ねずみにも見えたのですが、これはしっぽを考慮すると、テンやイタチか🤔
上部には特徴ともいえる乳白色がほかよりも立つような濁りがありました。
また、よく見ると石の繊維のようなものも確認が出来ます。
人工石で、煙のようなマーブルが入ったものはよく見かけますが、
(大理石柄も結構流行ってますよね!)
大地が創り出した模様は、同じものは無い、唯一無二の個性ですね!💎✨
かこさん
変わった形の印材
こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただき有難うございます。
もうすでに夏が待ち遠しいので、夏の歌を沢山聞いています。わたしには年上の友達でとても仲のいい子がいるので、カラオケにいくと世代ではないのに一緒に爆音で歌ったせいか睡蓮花が歌えます!!テンション上がりますよね。超絶夏!という感じします!
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今回も、先日中野区で買取をさせていただいたお品物のご紹介の続きです。
今回紹介させていただきますのは「印材」です。
あまりみない形のはんこが沢山ならんでいます。真ん中より少し左側にある恐らく犬(?)のはんこがとてもかわいいです。鎖のようにつながっている形のものも、左右に一つずつありますね。とてもおしゃれです。
個人的には右から二番目の透明なはんこが気になりました。透明のものって、なんだか綺麗で可愛らしくありませんか?
最近の女の子の間では、クリアサンダルという透明のビニール素材でできた、まるでガラスの靴のようなサンダルや、中身が見えるのが逆におしゃれ!と、透明のバッグや、透明感メイク、透明肌という風に美容やメイクでもよく「透明」という言葉が使われ、ここ数年はやり続けているように感じます。
まさか昔から透明なグッズがあるなんて…!はんこで透明はなかなか見ないですよね。今となってはそういったものも少なくはないのかもしれませんが、こういった古いものの中から出てくると感動しますね😳 流行りを何年も先取りしている…! のかな笑?
こちらもちょっと変わったはんこですね。これは倒してある写真ですが、どんな形をしていると思いますか🤔
起こして正面から見ると、、、
こんな形になっています!多分おじいちゃんであろう人が多分馬であろう動物に乗っています。なんとも言えない表情ですね笑。とても大きくて高さのある帽子をかぶっています。韓国のカッ(갓)に似ています。服装も韓国の民族の服装に似ていますね。そちらの方の人をイメージして作ったのでしょうか。
いかがでしたか。みなさんの気になった印材はありましたでしょうか。こんなに変わった形のものがたくさんあるのは見ているだけでも面白いですね。
くまねこ堂では古本だけでなく、古いおもちゃや古道具、アクセサリーや万年筆など、何でも見ることが出来ます。中にはもうゴミかも…と思っているものにもお値段がつくかもしれません。今回も、お客様がもうゴミ袋に詰めて処分されようとしていたものの中に、お値段がつくお品物が何点もございました。お客様も「まさかこんなお値段になるとは思わなかった!」とおっしゃてくださりました。そう言っていただけると、こちらとしても大変嬉しく思います
ご処分やご処分やご整理にお困りのお客様がいらっしゃいましたら、まずは捨てずに、お気軽にご連絡くださいませ。
また、緊急事態宣言期間となっておりますが、くまねこ堂では買取依頼を受け付けております。場合によっては即日出張買取も可能です。
お電話、LINE、またはメールフォームにて、スタッフ一同心よりお待ちしております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ち
田辺竹雲斎 竹籠のご紹介
こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただきありがようございます。
私は飴を常備しているのですが(大阪のおばちゃんみたい…)、スーパーの飴玉コーナーには塩分補給系の飴が増えてきたように感じます。汗をかくような気温になってきたので、塩分補給は大事ですね。
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本日は、先日お伺いした中野区のお客様よりお譲りいただいたお品物で載せきれなかった分の続きをご紹介させていただきます。
今回紹介いたしますのは「竹籠」です。
こちらの竹籠は田辺竹雲斎の作品です。竹工芸家で、代々襲名されているそうです。とても味のあるかごですね。蓋の裏に名前が入っています。これは実用するものなのか、飾るものなのか、どちらなのでしょうか🤔 勿論使えないことはないのだと思いますが、ちょっと使うのはもったいないような気がしますね。
このような桐箱に入っています。
竹には銘が彫られています。
わたしは、中学生の頃に美術の授業で籐のかご編みをしたことがあるのですが、とても難しくて、曲がってしまったり、編む順番を間違えたりと、なかなかうまくいきませんでした😢
こちらのかごは竹ですので、籐よりもっと固く扱いにくいと思うのですが、綺麗に編まれていて、しかもねじれている部分なんかもとてもお洒落です。持ち手がついているのも可愛いですよね。
このシリーズは最後にもうひと品ご紹介させていただきます!気になった方はぜひ次のブログもよろしくおねがいします🙇♂️
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最後までお読みいただきありがとうございました。
ち
素敵な金工品の数々!刀の目貫、帯留め、財布金具などをお譲りいただきました
こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただき有難うございます。
先日は出張買取が一日で二件ありまして、どちらのお客様からも古道具、お茶道具など道具中心に沢山のお品物をお譲りいただきました。
そのうち二件目にお伺いした中野区のお客様からは、竹籠、田辺竹雲斎、永楽善五郎、根付、印材、印鈕、翡翠、簪、帯どめ、古銭、切手など多数お譲りいただきました。ありがとうございました。
久々に道具類でハイエースを満杯にして無事に帰ることができ、店主・スタッフ共に嬉しい気持ちでした!!🙇♂️
本日はお譲り頂いたお品物をいくつかご紹介させていただきます。
まずはこちら。
帯留め、刀の目貫、財布金具などの金工品類です。元々は目貫だったものを財布金具に作りなおしたものなどもあるそうです。ですので、これらの金工品の区別は曖昧とのこと。
こちらは土筆の形をしたものです。春を感じる可愛らしいデザインですね。これは目貫のようです。刀についていたらおしゃれですね。
こちらは帯留めです。お花や葉っぱなどとても細かく作り込まれています。綺麗な桃色珊瑚の帯留で艶があります。どんなお着物にも合いそうですね。
こちらは財布金具なのか目貫なのか、はっきりとどちらかはわからないものなのですが、犬なのでしょうか。なんとも言えない微笑ましい表情をしていますね😌顔とは真逆に胴体の方はとても美しい花々や蝶のような模様が彫られています。まるで優しい顔をしているのにイカつい刺青をいれているギャップのある人みたいですね。とても面白いです。
こちらも全て同じような種類のお品物たちです。
龍の絵が入っています。かっこいいですね。粋!といった感じがします。鱗(?)のような部分や足の爪まで凝っていて、職人の凄さを感じます。
こちらも、用途ははっきりわかっていないものですが、和服から洋服へと人々の服装が変化していく中でできた和洋折衷な小物のようです。蛇腹のような形をしています。何に使うものかはわかりませんが、とてもおしゃれで世間一般の人が持っているようなものではないですよね。
珍しいお品物の数々をお譲りいただき、わたしもとても貴重な経験となりました。
まだまだお見せしたい素敵なお品物はたくさんありますが、今回はここまでとして順番にご紹介させていただきますので、気になる方は次のブログもぜひチェックしていただければと思います🙋♂️
くまねこ堂では古本だけでなく、古いおもちゃや古道具、アクセサリーや万年筆など、何でも見ることが出来ます。中にはもうゴミかも…と思っているものにもお値段がつくかもしれません。今回も、お客様がもうゴミ袋に詰めて処分されようとしていたものの中に、お値段がつくお品物が何点もございました。お客様も「まさかこんなお値段になるとは思わなかった!」とおっしゃてくださりました。そう言っていただけると、こちらとしても大変嬉しく思います
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最後までお読みいただきありがとうございました。
ち
覗き穴?!が空いている銭箱をお譲り頂きました🤑
空気がジメジメして参りましたね・・・。
気持ちまでジメジメしないように、日々過ごしたいです
先日は東京都浅草蔵前のお客様より、
バカラ、ティファニー、香蘭社、深川製磁、陶磁器、フィギュリン、花器、贈答品、ギフト等をお譲り頂きました!素敵なお品物を沢山拝見させていただきまして、誠にありがとうございました。
いつも出張買取に赴き、思う事があります。
それは、
・今現在買い手があまりいない
・市場でのニーズがなく、
・業者の古道具市場、古美術市場で値が付かない為、
お値段が積極的に付けられない物ではあるが・・・・・・・・
店主・スタッフが個人的に好きな物って、あるよね~~~~~!!
☆A R U Y O N E E ~ ~ ☆彡yeah👍👍👍☆彡
☆彡H U R U D O U G U !
A R U ☆ A R U ☆ ☆彡yeah👍👍👍☆彡
(あるよね~~イェーイ)
(古道具、あるある、イェーイ)
という話です。
今日、買取の道中、店主とそんなお話をしました😌
そんなお品物を一品、ご紹介させていただきます。
東京で古くから商人の家系という方からお譲りいただきました、
銭箱です!!!
金庫です!ジャパニーズ アンティーク セーフティーボォークスッ!!!()
様々なデザインのものがありますが、
こちらは金具も重厚感がありますね。
鍵穴があると施錠したくなります。
(鍵は残念ながらございませんでした!)
中は仕切りが付けられるようになっています。
で!この銭箱の最大の特徴と言っても過言ではないのが!?
上部の3つの穴!
なるほど、仕切りの間隔もこれに比例しているので、
三つそれぞれのお部屋へダイレクトにお金をご案内できる仕組みデ~~ス💰💰💰
覗き穴くらいの大きさの穴なので、
貯めたお金を「どれどれ、どれだけ入っているカネ🤭🤑」
って感じで、この銭箱が現役で活躍していた時には
中身を確認する輩がいたのではないでしょうか(笑)
かこさん
頭をかじらせて願いを込めたい♡木彫の根付をお譲り頂きました。
今年はお祭りとか、やっぱりないですよね~~???( ;∀;)
暑い日が増えてくると、縁日や花火が恋しくなってくるのです。
先日は品川区でなんと7代続く家系のお客様!より、ジュエリー、アクセサリー、外国のコイン、古銭、腕時計、ボールペン、根付、銭箱、ギフト、ウェッジウッド、ピエールカルダン、アーノルドパーマ等、お家まるごと拝見させていただき、お譲り頂きました。
中には江戸時代のお品物も!昭和平成の小物から、
おそらく100年以上は経過しているような貴重なお品物まで、
沢山のお品物を拝見させていただき、ありがとうございました。
今回はそんなお品物の中から、趣のある根付をご紹介させていただきます。
作者の銘はありませんでしたが、
表情に風格がある獅子頭の根付です!
今一度、ネットで画像をひろいながら色々見比べてみて、
獅子舞の頭って、地域や種類によって色んなお耳の形がありますが
耳がもうちょっと架空の生き物っぽい?
少し豚🐷のような、エアリー感のある耳(特に加賀獅子)も多いですね。
だからでしょうか。
私、最初こちらの根付を拝見した時、なんだか狛犬っぽいと思いました。
たれ耳萌え~~🐶
あ~あと、現代のわんこならパグっぽい所もあるかもしれませんね🦴
写真だとわかりづらいのですが、経年変化もあると思われます、
瞳の部分が艶が出ていてうるうるした感じの眼になっています。
木彫等で、古いものならではの木の光沢を見ると、
正に美しさに”磨き”が掛かっているなあ~~と惚れ惚れしてしまう事があります。
立派な眉毛と麿眉!
(いや、恐らく眉毛の端のカールの表現なのでしょうが(笑))
ここの麿眉の部分を目と勘違いする人が一定数いるでしょうな(笑)
顔全体同色だと尚更!オモロ~👽
この獅子頭、なんと。
パカッと頭をかじれちゃう仕様なんです!
今からでもいい!頭を噛んでくれ!頭よくなりてえよ!!!!
舌にペロちゃんマークみたいな切れ込みが入っています→😋
これは狙ってやってるのか?!それともタダのキズなのか!?(;’∀’)汗
下から見るとこうなってます~↑
根付って360度見どころがあるものが結構あって楽しいですね。
思わず写真を色んな角度から撮ってご紹介してしまいました😊🗾♪
ありがとうございました!
かこさん
戦時中の郵便貯金の証書を紹介します
いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回は、絵はがきの整理をしていた最中に、紛れ込んでいたものをご紹介します。大きさは、はがきとほぼ同じものです。
アジア・太平洋戦争(当時、大東亜戦争と呼ばれた)の時期の、特別据置貯金証書です。特別据置貯金証書とは、画像の説明書き中にあるように、「郵便貯金法及其ノ付属法」に基づいた貯金の証明書というわけです。とりあえずは、ここに記載された14円が、戦時中の郵便貯金であり、それも定期預金の金額であったことがわかります。
とすると、いくつか疑問が浮かびます。「特別」据置貯金証書というのは、何が「特別」なのでしょうか。それは「郵便貯金法及其ノ付属法」にあたってみるほかありませんので、即答はできませんが、戦時中だから「特別」なのでしょうか。また、上記の証書の場合では、1943年3月4日から5年間の「据置」すなわち定期預金であり、その満了は1948年3月3日となっています。周知のとおり日本は1945年8月に敗戦するわけですが、この特別据置貯金という定期預金は、その満了を迎えたときに引き出せたのでしょうか。
おそらく現金化することは不可能であったことでしょう。確実なことはいえませんが、これから挙げるいくつかの理由から、特別据置貯金証書は「紙くず同然」となったと思われます。
・敗戦後のハイパーインフレーションに対処するため、1946年2月の金融緊急措置令によって預金封鎖・新円切り替えが実施されました。そのため、戦時中の旧円の証書である特別据置貯金証書で預金を引き出すことは不可能であったのではないでしょうか。
・特別据置貯金の根拠となる「郵便貯金法及其ノ付属法」では、据置期間が満了を迎える前に、戦争が終わることを想定していなかったかもしれません。「大東亜戦争」の特別据置貯金の満期が、当然のように5年後の1948年3月3日満了と証書に記載されているように、もはや戦争が日常化していたのでしょう。以下に掲げた3枚めの画像では、5年後の満了日が1949年8月6日になっています。
ともかく、戦時下の定期郵便貯金である「特別据置貯金」が、敗戦後にどのように扱われたのか、法的根拠を示しながら述べる準備は、今のところありません。おそらくは、透明性とは程遠い、複雑怪奇な制度であったことでしょう。たとえば、「満了以前に敗戦したので、払い戻しの手続きは法的に存在しません!」と居直る政府に対して、その責任を追及することは困難だろうと想像します。
やはり、この証書は、換金されずにこうして絵はがきに混ざっているような代物である、ということに立ち返るべきなのでしょう。こういう状態を「紙くず同然」と呼んでも差し支えないはずで、このことをひとまずの結論としておきます。
一方で、戦時中における郵便貯金の役割は当時から重要視されていました。この点は、その重要性ゆえにいくつかの注目すべき書籍や文献に依拠して調べることができましたので、その一端にふれてみたいと思います。
戦前の日本においては、日中戦争勃発後の1938年、国民精神総動員運動の一環として、貯蓄奨励運動が盛んに展開されました。第一次近衛文麿内閣の賀屋興宣(かや・おきのり)蔵相は、率先して貯蓄奨励のための講演で全国を回りました。賀屋がそこまでして貯蓄奨励にこだわった意図とはなんでしょうか? このことについて、1937年9月10日に公布された臨時軍事費特別会計法とその運用を検証した鈴木晟氏は、賀屋の講演に依拠して次のようにまとめています。
「臨時軍事費の財源の多くが公債であることは前述したが、賀屋によれば支那事変(日中戦争)が始まってから昭和14年(1939年)5月27日までに発行した国債の総額は74億6000万円で、その消化の内訳は、大蔵省預金部(郵便貯金などを運用)が引き受けたのが14億3000万円、国債引受銀行団が1億円、『日本銀行がまず一手に引受けたものを民間等に売却したものが49億1600万円』である。(中略)このような公債の消化は国民の貯蓄の増加に依存している。大蔵省預金部にしろ、また市中の銀行・信託会社・保険会社にしろ、その保持している公債の元手は、郵便貯金や銀行預金にほかならない」
(※)鈴木晟『臨時軍事費特別会計――帝国日本を破滅させた魔性の制度』(講談社、2013年)142‐143頁。
このようにして戦中の日本は、国民の預貯金を根拠にして発行された大量の国債を用いて、戦争を続けたわけです。こうした財源上のからくりによって、日本の軍国主義が支えられていたことについては、敗戦後、経済復興のための調査研究に従事した日本人自身によっても問題視されました。
外務省調査局事務官の大来佐武郎(おおきた・さぶろう)が中心となり、技術系の専門家やエコノミストや・経済学者らが集結してまとめた外務省特別調査委員会の報告書「日本経済再建の基本問題」(1946年3月、同年9月に改訂)には、以下のような記述があります(現代仮名遣いに改めて引用し、代名詞などは適宜ひらがなとしています)。
「証券取引が未発達であり、国民の投資に対する関心が薄く貯蓄は大部分郵便貯金または銀行預金の形をとり、直接株式その他の企業投資に向かうことが少なかった。その結果として金融機関は自己または政府の意志に基いて自由に運用し得る多額の預貯金を持つことが出来たのである。かくて集中せられた資金は軍需工場の拡大や政府公債の引受等に向けられ、国民大衆の利益に還元し来ることが極めて少なかったのである」
(※)外務省特別調査委員会「改訂日本経済再建の基本問題」1946年9月、中村隆英、大森とく子編『資料・戦後日本の経済政策構想』第1巻(東京大学出版会、1990年)166頁。
ここで指摘されている「国民の投資に対する関心が薄く貯蓄は大部分郵便貯金または銀行預金の形をと」っている状況は、現在でもあまり変わりません。戦後の高度成長を経た日本では、価値が安定した円が、大量に預金されているということを前提に、政府が国債を発行し続けてきたという事情があります。けれどもその前提がいつまで通用するかわかりません。
今回紹介した、特別据置貯金証書の存在が示しているのは、定期の郵便貯金が紙くず同然になったという戦時~敗戦の教訓です。戦争に加担した郵便貯金、敗戦後に無価値となった郵便貯金という凄まじい話なわけです。しかもこの教訓の一部には、そうした預金の使途や後片付けについて、私たちがかなりの程度無関心であったことも含まれています。それを思うと、改めて現在の状況で、財政・金融について自分なりに考える必要を感じさせられます。
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くまねこ堂では様々なお品物の買取を行っております。それらお譲りいただきました品々を、なるべくタイムリーな形で当ブログで紹介してまいります。また、書籍・古道具などのご処分をご検討の際は、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。
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小野坂
市川市で出張買取でした🚙
こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただきありがとうございます。
本日は千葉県市川市のお客様より出張買取のご依頼でライター、銀製品、根付、木彫、美術書、古書、展覧会カタログ、スピリチュアル、精神世界、宗教学などをお譲りいただきました。ありがとうございました。
今回のお客様のお家は、お父様が作品作りなどをなさっていたそうで、お家丸ごと見させていただいたのですが、椅子なども作られたものがあり、とても素敵でした✨
お譲り頂いたものの中から一部紹介させていただきます。
こちらは茶器です。どれも可愛らしい手のひらサイズで、三つもあると更に可愛いですね。しかし、小さいものを作るのは細かい作業になるので、不器用なわたしはこういう細々したものを見ると、やっぱり職人さんてすごいんだなあと小学生のような語彙になってしまいます笑。
こちらも同じく茶器です。蓋の模様が綺麗ですね。わたしは急須でお茶を淹れたことが数える程しかないのですが、急須でお茶が出てきたら「かっこいい!!!」となりますよね。
こちらは彫ったはんこを押して作品にするためのものだそうです。これはまだまっさらなものですが、どんどんはんこがたまっていたらおもしろそうですね。御朱印帳のような感じなのでしょうか。上の画像が閉じた状態のもので、下の画像が開いた状態のものです。外見のデザインもかっこいいですね。
くまねこ堂では古本だけでなく、古いおもちゃや古道具、アクセサリーや万年筆など、何でも見ることが出来ます。中にはもうゴミかも…と思っているものにもお値段がつくかもしれません。ご処分やご整理にお困りのお客様がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡くださいませ。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
ち