買取事例

リディア・ライマー、グスターフ・ヘーゲルマン、ヴィリー・ユング『戦時下ドイツの国民生活指導』尾高豊作編、伊藤政文訳(刀江書院、1941年)が入荷しました!

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

 最近、こんな本が入荷しました。昭和の戦時中の本ですが、同時期のナチス・ドイツの国民生活に関する政策を扱ったドイツ語の本の翻訳になります。

尾高豊作『戦時下ドイツの国民生活指導』

リディア・ライマー、グスターフ・ヘーゲルマン、ヴィリー・ユング『戦時下ドイツの国民生活指導』尾高豊作編、伊藤政文訳(刀江書院、1941年)です。本書「はしがき」は編者の尾高によるものです。ここで尾高は、刊行の目的について述べる際に、戦時下の日本では軍需生産の拡大に性急なあまり、国民の社会生活が軽視されているのではないか、との問いかけから始めています。戦時日本の「国策」から、こともあろうに「国民の社会生活」が抜け落ちていやしないか? という切実さが、この尾高の問いからうかがえます。とりわけ、「徒らに政府当路の掛け声に便乗して国民はただ『戦争だから我慢しよう』という消極的努力にのみ相牽制し合っていたことはなかっただろうか」と尾高が述べるとき、現在の私たちの政治状況、生活環境をある意味表現している気がしなくもないですね。「国策」の名の下に国民に我慢を強いる政府、という構図は、昭和の戦争でも、令和のコロナ禍でも似通っているようです。

 一方で、尾高豊作が望んだような、消極的努力に取って代わる積極的な努力は、老若男女問わず「戦時下の国民として百パーセントの能力を発揮して共同の使命に参画する勇気と責任感を持」つことによってなし得るもののようです。国民に消極的努力を押し付ける政府は問題があるとしても、尾高のいうところの積極的な努力を追い求めることにも危うさが感じられます。事実、戦時日本においては、女性運動、キリスト教運動、社会主義運動など反戦運動・民主化運動につながりそうな運動がことごとく戦時協力へと踏み切る積極性をみせてしまいました。消極的努力を強いることはどのような問題を生み出してしまうのだろうか?、積極さが自由な意思を伴っているとは限らないのでは?という歴史の教訓は、コロナ禍の真っ只中だからこそ再訪する必要があるのかもしれません。

 ところで、『戦時下ドイツの国民生活指導』の版元の刀江書院とは、尾高豊作が設立した出版社です。刀江書院は1919(大正8)年に尾高によって創業され、民俗、歴史、経済、教育、社会学などの多くの専門書を刊行し、また雑誌『郷土』や『児童』を創刊するなど、戦前の人文社会系の出版社として知られています。なお、1997年に児童文庫が刊行されたことが、国会図書館サーチで確認可能です。刀江書院は、少なくともこの時期までは存在していたといえるでしょう。

 「尾高」、「刀江書院」というキーワードで連想したのは、1920年代末からの京城帝国大学における法学、経済学の成果を続々刊行していたのが、刀江書院ではなかったか、ということでした。

京城帝国大学 朝鮮経済の研究

尾高朝雄

 たしかに事務所には、京城帝国大学法文学会『朝鮮経済の研究』(刀江書院、1929年)があります。その目次を確認すると、別の京城帝大の論集(1928年)に尾高朝雄「法律の社会的構造」という論文が所収されていることがわかりました。尾高朝雄は京城帝大法学部教授なのですが、刀江書院の創設者・尾高豊作の弟でもあります。この辺りの出版史事情も、古本屋として今後注目していきたいです。

===
 くまねこ堂では様々なお品物の買取を行っております。それらお譲りいただきました品々を、なるべくタイムリーな形で当ブログで紹介してまいります。また、書籍・古道具などのご処分をご検討の際は、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。

 お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!

小野坂


人気ブログランキング

千葉県鎌ケ谷市のお客様よりハイエース二台分の古書・骨董をお譲りいただきました!

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただき有難うございます。

 

まだまだ雨は降ったりやんだりの安定しない天候ですが、気温は随分と高くなりましたね。うっかり水を飲むのを忘れたりすると不意にクラっと来たりしますし、マスクも長時間付けたままになると熱がこもって息苦しくなるので、水分補給をして、マスクも少し外したりして今年の夏も体調に気を付けていかないといけませんねb-ganba.gif

 

先日は千葉県鎌ケ谷市のお客様より、鉄瓶、棗 、茶碗、水差し、茶釜、茶杓、茶かけ、銀貨、外国コイン、宮川(眞葛)香山、三浦竹泉などをお譲りいただきました。また道具類に加え古本もお譲りいただき、ハイエース二台分満杯の量となりました!ありがとうございました。

 

今回お譲りいただいたものの中から一部紹介させていただきます。

まずはこちら。高橋道八の煎茶碗です。鮮やかな赤色が素敵ですね。

くまねこ堂では、こういった道具類で箱が付いている場合は査定ポイントが高いです。箱がある場合は、箱と一緒にお見せいただけると査定額が上がる可能性がございます✨

アップで見るとさらに面白いですね。舟のようなものの人が乗っている様子でしょうか。こんな茶器がお家にあったらおしゃれですね。

 

続いてはこちら。宮川(眞葛)香山の香炉です。

鳥のような生き物が真ん中に描かれています。柔らかな線で表されていて、優しい感じのデザインですね。色も目👀に優しい感じの色です。

ちなみに

蓋をあけるとこんな感じです。海外で宮川香山の名はMakuzu Kozanとして知られているそうですよ。

 

最後はこちら。こちらも香炉で、三浦竹泉のものです。

蓋のくりぬかれた模様が細かくて綺麗ですね。

開けるとこんな感じです。思ったよりも底が深い…🙂綺麗な薄緑でかわいいですね!

 

 

くまねこ堂では、古本だけでなく、骨董、古道具、古いおもちゃ、時計、万年筆、アクセサリーなど様々なものが査定対象となっております、ご処分やご整理にお困りのお客様がいらっしゃいましたら、くまねこ堂までお気軽にご相談ください。

また、くまねこ堂では新型コロナウイルスの感染対策を徹底しつつ、出張買取を行っております。

場合によっては即日出張買取の可能です。

お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。

スタッフ一同心よりお待ちしております。

 

最後までお読みいただき有難うございました。

 


人気ブログランキング

集まれ!にっぽんのミニチュア🍵

先日は神奈川県横浜市戸塚のお客様より、
中国切手、古銭、掛軸、銀貨、腕時計、レコード等!
くまねこ堂のハイエース一台分程の沢山のお品物をお譲り頂きました。
ご依頼誠にありがとうございました!

皆さま皆さま、見てください~~✨!!じゃーーん

木工細工 おもちゃ アンティーク 買取

お客様のお婆様が、ミニチュア等の可愛らしい物がお好きだったそうで、
長年ご自宅のガラスケースに所せまし!と陳列してあったコレクションをお譲り頂きました。

昭和のお家ってなぜかガラスケースに趣味のものを、例えば他によくあるモノですと、
キャラクターグッツでしたり、ちいさい人形でしたり、国内外お土産の小物等でしたり・・・🤭

今となっては家族の誰も開かない、
埃が積もった「開けずのガラスケース」があります。

くまねこ堂でもお家のご整理にお邪魔いたしますと、
よくお客様に「こういうのの買取はさすがに難しいですよね💦」
と、おずおずご案内いただくのが、
この「ガラスケースに入っているけど長年誰も触ってない家族のだれかのコレクション」!
なんですね。

こういったガラスケースにお目に掛かれると、
店主もスタッフも、目が輝いてきて(笑)、

「すごい!この中だけ時が止まっている!まるでタイムマシンだ!!
是非拝見させて下さい!!ワクワク👀✨」

という流れになります🤭
ありがとうございます!!

中を拝見させていただき、
残念ながら買取が出来ないお品物の場合もございますが、
何十年閉ざされていた扉を開くと、
やはりご依頼主様方も、手を伸ばしてみると、
昔の思い出がぶわっと蘇ってきて、
一緒に盛り上がったりもします🍰✨

今回ご紹介させていただくミニチュアも、そのタイムカプセルの中のひとつでした。

 古道具・伝統工芸・細工品

シラサギと思われる全長3㎝程の人形は、触ってみると結構しっかりとした作り!
風車が付いたねずみの玩具は、
全長がだいたいMONO消しゴムくらいにミニマムなのに、
ばっちり可動式!

 

 

 古道具・伝統工芸・細工品

お茶道具のミニチュアが特にお好みだったようで、沢山陳列されていました。
なんとそのほとんどが、湯呑や茶托、果ては急須の蓋まで(!)個別に作られており、
お子様のオママゴトがはかどりそうな仕様!
(写真右のお裁縫セットも全部中身が取り出せます!楽しい。)

 

 古道具・伝統工芸・細工品
鏡台の箪笥の引き出しも、、幅1cmないのに一つづつ開けられます!
ひとつふたつ失くしちゃいそうですが、
よくぞこの2021年まで、全部揃った状態で残ってくださいました。尊い。

 

 古道具・伝統工芸・細工品

こちらはなんとお習字セット!!!!🐙🖌
中身も全部固定されておらず、最初箱を開けた時に思わず驚いてしまいました。
この楊枝みたいな筆で、本当に何か書いてみたくなっちゃうじゃん!
ちなみに赤い塗りのセットのほうには、和紙が1枚入っていました。。芸が細かい。

 

 古道具・伝統工芸・細工品

こちらの箱の蓋には、ピンで留められた5円玉くらいの凧たちが、
まるで絵画のギャラリーのように展示されていました。

丁寧にモノをつくる人もいれば、
丁寧にモノを飾る人もいるのです。

 

 古道具・伝統工芸・細工品

 

いつの時代も一定数ファンがいるミニチュアの世界。
にっぽんのミニチュアの芸の細やかさ、繊細さは、
時代を越えて現代人にも通ずる
無邪気な「童心」をくすぐってくれました✨👀🎈🍭

かこさん

↓人気ブログランキングのバナーがだいぶSUMMERになりましたね(笑)
はやく梅雨があけたらいいな~~~🍉


人気ブログランキング

 

出張買取にて、コミックセット・古銭などをお譲りいただきました。

こんにちは。くまねこ堂ブログをご覧いただきましてありがとうございます。

本日は神奈川県は横浜市のお宅まで出張買取に行って参りました。昭和初期から続く木造の立派なお宅で、門扉から入るや否や背筋が直るような雰囲気でした。

もうすっかり夏ですね。私も今日で四か所蚊に刺され、今年初めての虫刺されだったので久しく眠っていた感覚に非常に苦悶しました。蚊に刺されやすいのは体質なのでしょうか。遺伝なのでしょうか。父も蚊に刺されやすいのでつい信じてしまいそうになります。

そんなこんなで今回お譲りいただいた品物は、ガンダム(サンダーボルト他)や空母いぶきなどのマンガ類、古銭などです。

 

これらはいずれも人気のある作品なので、ご存知なかった方は是非一度お読みなさってはいかがでしょうか。

これらはそれぞれ一体何なのか、お分かりになった方はいらっしゃいますでしょうか。一つずつご紹介していきます。

まず写真左端のガラスの容器に金属製の蓋がついているもの、蓋には「CAKE VESSEL T SAITOSYOTEN TOKYO JAPAN」の字が鋳つけられています。これは戦前に商店で商品のお菓子を入れていた容器だそうです。私は初めてお目にかかりました。現在よく目にするのはプラスチック製の縦に置く仕様のものですが、この品から当時はプラスチックが広く普及していなかったことが伺えます。

一つ右に移りまして、金属製の円盤状のものからこれまた金属製の薄いリボンのようなものが出ています。これはその見た目から察せられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは戦前の巻尺です。円盤中央の丸い部分が蓋になっていて、これが開いていると自由に出し入れして長さを変えられ、閉じることで長さを固定できます。

その下(手前)のコインのようなものは、横浜の愛犬倶楽部というところから出たものだそうで、上部に紐か何かを通せそうな環がついていますね。ストラップのようなものだったのでしょうか。

さて、その右の複数のコインですが、これは戦前にオランダで流通していた硬貨だそうです。小さいものから順に、「1/10G,1/4G,1/2G,1G,2G」と鋳つけられています。Gはグルデン(またはギルダー)と読みます。

今回の買取でも非常に貴重なお品物をお譲りいただきありがとうございました。

くまねこ堂では、新型コロナウイルス感染症対策に最大限配慮しながら古本・骨董の買取を行っております。買取をご希望のお品物をお持ちの方は、是非ご気軽にご相談ください。

赤尾


古美術・骨董ランキング

プラモ、ゲーム、DVD、レコードなど大量買取!

いつもくまねこ堂ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

 

本日は板橋区高島平団地のお客様より遺品整理のご依頼をいただきまして、出張買取にお伺いさせていただきました。お部屋を拝見させていただきますと、今回お譲りいただきましたプラモ、タミヤ、ミリタリー、軍装品、PCゲーム、ゲームソフト、プレステ1、2、3、ドリームキャスト、DVD、レコードなどなどのお品物が部屋中に所狭しと大量に積まれており、嬉しい悲鳴と共に気合が入りますね。迅速丁寧に査定を進めさせていただき、たくさんのお品物をお譲りいただきました。お声がけいただき誠にありがとうございます!

 

プラモデルはタミヤ製やニチモ製が多数!戦車や飛行機、バイクなどが大量入荷いたしました。しかもほぼ未組み立てのお品物ばかりで説明書も付いた状態良好のものばかり。ありがたい限りです。写真はドイツ軍とロシア軍の戦車になります。やはり戦車のプラモは人気のものが多いようですね。こちらも箱の状態も良く、中もほぼ未開封です。うっとり。

プラモ_01
プラモ_02
プラモ_03
プラモ_04
プラモ_05

 

こちらも今回お譲りいただきました人気オーティオメーカーLUXMANの管球式コントロールアンプなります。入力切れ替えや音質調整などを行う、いわゆるプリアンプですね。品番はCL-34になります。1980年頃に生産されたもののようです。高級感が漂う佇まい、憧れます。
LUXMAN_01
LUXMAN_02

 

くまねこ堂では古本、CD/DVDなどのご整理はもちろん、古道具や骨董品、レコードや古いおもちゃなどなど、様々なお品物の買取を行っております。ご処分をお考えの際はお気軽にご相談下さいませ。

 

また、ご遺品整理などでお困りのお客さまは、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。

 

お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!

 

 

56さん

 

 

 


人気ブログランキング

玉屋のスコープ付き羅針盤を入荷いたしました。

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回ご紹介するのは昔の測量機器らしき器具です。あれこれ申し上げる前に、まずはどんなものなのか、皆様にご覧に入れたいと思います。

どうぞご覧ください。

金具の部分は全体的に薄く錆びで覆われており、かすかに目盛りが読み取れます。鏡筒は水平軸のまわりに回転できるようになっていて、その下には比較的大きな方位磁針があります。その下の部分は鉛直軸を中心に回転可能で、これらによって何か対象物の方向(経緯)を計測していたのではないかと考えられます。それは天体観測に用いられたのか、或いは土地の測量に用いられたのか、これだけでははっきり致しません。実際私も鏡筒を覗いてみましたが、レンズが汚れていてうまく見えませんでした。

方位磁針の盤面を見てみると、「T.TAMAYA TOKIO」の文字があることがわかります。

TAMAYAは恐らく老舗測量機器メーカーである玉屋をさしていて、この器具が玉屋製のものであることが分かります。しかし、その製造年代は曖昧です。現在、「タマヤ計測システム株式会社」という会社があるそうなのですが、その前身は玉屋であるのかもしれません。

出張買取にて、埼玉県さいたま市のお客様より、CD、DVD、芸能、手芸本、ディアゴスティーニ、洋酒、アクセサリー、おもちゃ等をお譲りいただきました。ありがとうございます。

以上、拙文をお読みいただきありがとうございました。

くまねこ堂では、現在新型コロナウイルス感染症対策への配慮に努めながら古本・骨董の買取を行っております。買取をご希望のお品物をお持ちの方は、是非ご気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。

赤尾


古美術・骨董ランキング

戦前のマッチ箱の巻紙のコレクションを入荷いたしました。

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

今回ご紹介するお品物は、戦前(おそらく1930年代)に世に出回っていたマッチ箱の巻紙を集めた冊子です。

見るからにかなり年季が入っていて、綴じ糸も白茶けて、紙の端はぼろぼろと崩れてしまいそうです。また厚みがあり、100頁以上あるのではないでしょうか。1頁あたり9~10種類の巻紙が飾られていることからも、その数は莫大で、このコレクションの持ち主の方はかなり熱心な収集家であったことが拝察されます。

中身の方を覗いてみましょう。

上段中央には新宿伊勢丹の文字が見えますね。(伊勢丹は明治19年(1886年)創業)その右隣にはヤマサ醤油の広告。(ヤマサ醤油は正保2年(1645年)創業)さらにその下には東京朝日新聞の広告がありますね。

 

横長のものもちらほら見えて参りました。左上の神谷バー(明治13年(1880年)創業)や、その右の三朝温泉依山楼岩崎(大正9年(1920年)創業)は、現在でも運営しているので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

この頁の中段左は、新宿松竹座の公演の広告で、「正月はまずエノケンで三十一日より初笑い」と書いてあります。エノケンとは昭和に活躍した舞台役者の榎本健一さんのことで、舞台公演の広告までマッチの箱には載っていたということは存じませんでした。

マッチの箱という何気ないものでも、収集すると、後々当時の風俗を知る貴重な史料になり得るのですね。

先日、荒川区のお客様より玩具類をお譲り頂きました。ありがとうございます。

拙文お読みいただきありがとうございました。

くまねこ堂では、現在新型コロナウイルス感染症対策に最大限配慮しながら古本・骨董の買い取りを行っております。買い取りをご希望のお品物をお持ちの方は、是非ともご気軽にご相談ください。

赤尾


古美術・骨董ランキング

 

1923年の関東大震災直後の、東京貯蓄銀行絵はがきを紹介します~「震災も焼き得ぬは貯金なり」⁉

 いつもくまねこ堂ブログをご覧いただきありがとうございます。

 再び絵はがきの紹介になります(※)。東京貯蓄銀行、というあまり聞きなれない銀行の絵はがきです。この銀行について、試しに設立者や沿革を確認したところ、意外にも興味深い事実に接することになりました。

(※)日露戦争時のロシア兵俘虜収容所の絵はがきについての以前の投稿はこちら
https://www.kumaneko-antique.com/17495/

 東京貯蓄銀行とは、小口貯金奨励のために1892(明治25)年に創設された銀行です。資本金10万円を基にした同年7月1日の開業は第一銀行店内でしたが、その2年後の1894年12月に神田に初の支店が設置されています。

 東京貯蓄銀行設立を主導したのは、どういった人々でしょうか。まずは、明治期に数々の会社、経済団体の立ち上げに関わった渋沢栄一(1840-1931)の名が挙がります。そして渋沢の下には、第一銀行の出世頭の佐々木勇之助(1854-1943)など、渋沢にその能力を見込まれた人物が集っていました。

※渋沢栄一ゆかりの地 株式会社東京貯蓄銀行本店(渋沢栄一記念財団ウェブサイト)
https://www.shibusawa.or.jp/eiichi/yukarinochi/album/13-J-0016-B0053-ph01.html

 明治期に順調に業務を拡大していった東京貯蓄銀行ですが、大正期に入ると、第一次世界大戦後の不況~1923年関東大震災~1927年金融恐慌~1929年世界大恐慌といった経済危機で生じた、一連の金融界の統廃合の波に呑まれていくことになります。1936年に東京貯蓄銀行は、川崎財閥の中核銀行でありながら経営が悪化していた川崎第百銀行の建て直しの一環で同行に合併されました。川崎第百銀行は、東京貯蓄銀行が扱っていた小口貯金をかき集めて企業に投資することで苦境を脱しようとしたのです。

 こうしてみると、小口貯金というのは、個々の金額は少なくとも、それをどう集めるか、集まったお金をどう活用するかという点で、日本経済を左右するものであったといえます。

 今回紹介するのは、関東大震災直後の東京貯蓄銀行絵はがきです。これら絵はがきに挿入されている標語が面白いので取り上げることにしました。

東京貯蓄銀行  ▲震災も焼き得ぬは貯金なり

東京貯蓄銀行  ▲震災の苦をおもえば堪へ得られぬものはなし

東京貯蓄銀行  ▲復興の魁は貯金にあり

 …どうでしょうか。現在の銀行がこんな標語を添えて絵はがきを発行していたら、焼き討ちにでも遭うのではないでしょうか。そこまでいかなくても、被災者から反感を買うこと請け合いです。

 日本人の貯蓄性向の異常な高さの由来は、日本経済史の大きな謎のひとつですが、一方で近年では貯蓄のない世帯が増えているとの報道もあります。歴史を学ぶ途上で、過去と現在との断絶に直面して驚くことは、ままあることです。この絵はがきが、貯蓄からみた日本史(※)といったような読書の導入になれば幸いです。

(※)以前の投稿で、日中戦争下での郵便貯金についてふれています。
https://www.kumaneko-antique.com/17406/

===
 くまねこ堂では様々なお品物の買取を行っております。それらお譲りいただきました品々を、なるべくタイムリーな形で当ブログで紹介してまいります。また、書籍・古道具などのご処分をご検討の際は、是非くまねこ堂までお申しつけ下さいませ。

 お電話またはメールフォーム、LINEにて、お気軽にお問い合わせ下さいませ。スタッフ一同心よりお待ちしております!

小野坂


人気ブログランキング

惣菜やお菓子の包み紙が詰まったスクラップブック

先日は埼玉県和光市のお客様より、
煎茶器、急須、朱泥、茶合、茶托、アクセサリー、翡翠、珊瑚等をお譲り頂きました。
ご依頼誠にありがとうございました🚙✨

 

 

食いしん坊万歳!

「いい味、いい旅、いい出会い」をテーマに、
全国各地の食べ物を訪ねる松岡修造さんが🌞めっちゃエネルギッシュ💪な
国民的番組のタイトルですね。

今回は、昭和30~40年代の「食いしん坊」が収集した、
美味しいものの跡形、包み紙やパッケージをまとめた
スクラップ・ブックをお譲り頂きましたので、ご紹介させていただきます。

 

 

 

崎陽軒の赤いパッケージ、今も昔も変わらないっ🐉☯笑
右上の崎陽軒はちょっとレアかもしれませんね。
カツオとワカメと、、、オラフ、、、かな。

甘栗の屋台の匂いってたまらないですよね。

 

この半透明の包み紙を残しておこうって思う人はなかなか見ませんぜ!?
でもよくよく見ると確かにカワイイ。
しゃなりとした字体の日光巻の「お召し上がり方」、
その下に栃木県の山椒の佃煮に付いていた、何故か、小人サイズの優良土産物推薦状。
めでたい雰囲気の”一昔前の特産品あるあるカラフルパッケージ”が画面に華を添えています🌈
左上のは森永キャラメルの箱!漫画家・絵本作家の小山内龍さん作の漫画が読めちゃいます。

 

 

不二家のパッケージは一目見て「西洋モノ!」ってわかります。
よく見るとペコちゃんにお鼻がない!どこいっちゃったの笑

右は当時神楽坂にあった、お菓子の老舗「鹽瀬(しおせ)」の包み紙に桐紋発見!
政府、内閣府のご用達だったのか?!

 

 

綴じ込み付録かいっicon_arrowd.gif!!
とツッコミを入れたくなるなるような貼り方で現れたのは、
豪華絢爛な絵柄の千歳飴の袋!
これは子供か孫に、
食べたら袋頂戴~って、言ったのだろうか。
どこかクスリと笑えるようなやり取りがあったんじゃないかと、連想してしまう🤭

思わずじっくり見たくなる、そんなお手製のこの本のタイトルは、

当時物 紙物 資料 レトロ 買取
食い散らかし!!!!笑笑笑

とっても素敵なお品物をお譲り頂きまして、
ありがとうございました🍪🍩🍭🐡🍜✨

かこさん

 


人気ブログランキング

鎚起銅器や、可愛らしいミニチュアなどお譲りいただきました

こんにちは。いつもくまねこ堂ブログをお読みいただきありがとうございます。

いよいよ雨の日が増え、本格的に梅雨の気配がしてきましたね。学生の頃は、体育や部活がつぶれたりするので、雨!嬉しい!と、正直思っていた部分もありましたが、、🙄 そういうものがなくなった今は、ちょっと億劫になったりします。洗濯物、乾きませんものね…😭なんとか綺麗な紫陽花を見て、心を癒して生きたい梅雨です。

 

本日は、品川区のお客様より出張買取のご依頼で、煎茶器、茶入れ、急須、常滑焼、九谷焼、軍装品、書道具、硯、古本、盆栽の本、銀杯、煙草盆、堆朱の花瓶などをお譲りいただきました。有難うございました。

 

本日お譲りいただいたものの一部を紹介させていただきます。

こちらは鎚起銅器です。しっかり箱にはいっております。鎚起銅器とは、1枚の銅板を鎚 で打ち延ばしたり、絞ったりして形を作る銅器とのことです。確かに叩いて作った跡がありますね。サイトに一生ものと書かれてありましたが、それだけしっかりしていそうです。

 

小さな急須でしょうか。あまり普通に生活していて見かけないものに感じます。丸いかたちが飾っても可愛らしく見えそうですよね。こういうのでお茶が出てきたら「カッコいい…!」と思いそうです✨

 

次はこちら。ししおどしのミニチュアでしょうか。小さくても、素材がしっかりしていて、この水が入る石も、見かけより重さがありました。

近くでみても、かなり本格的ですね。水車も指で触ったら、ちゃんと回りましたよhappy0065.gif

よくできていて、見ているだけでも可愛くて楽しいですね。今にもかぽーん、、という音が聴こえてきそうな雰囲気です。

 

最後はこちら。お小物ですね。獅子なのか狛犬なのかシーサーなのか…!これは狛犬っぽいですね🤔鮮やかな模様と色がとても素敵です。鞠のようなものを足で持っています。よく見ると、この鞠の柄もお洒落で素敵ですね。

 

 

くまねこ堂では古本はもちろん、CD、DVD、ゲーム、骨董品、アクセサリー、おもちゃなど幅広いジャンルの商品の買取を行っております。

また、大量の買取にも対応しております。量が多すぎて何から手を付けてよいのか分からない、運ぼうにも運べない、という状態でも構いません。ご処分やご整理にお困りの方は、捨ててしまう前にぜひ一度くまねこ堂にご相談ください。お電話、メールフォーム、LINEにてお気軽にご連絡くださいませ。

スタッフ一同、心よりお待ちしております。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 


人気ブログランキング

くまねこ堂 出張買取対応エリア

関東を中心に承っております。
詳しくは対応エリアをご確認ください。

PAGE TOP